「作れる」より先に、何が止まっているのか
小規模事業者向けにWeb制作とAI支援をやっています。「うちに頼むメリットは何ですか」と聞かれたとき、これまでは肌感覚で答えていました。
その答えを、観察待ちにするのをやめて数えました。発注文98件、受注側27社、事例32件、不満24件、公的統計9本。全部読んで集計した結果、思っていた景色と違うところが2つありました。
一番多かったのは「作ってほしい」ではなかった
発注文を読んで穴を並べたとき、1位は「問い合わせが来る」でした。2位は「人に頼まずに更新が回る」。この2つで約半数です。
「作ってほしい」ではないんですよね。サイトを作れること自体は、もう前提になっている。そのうえで、来てほしい・止まらないでほしい、が本音として出ている。
事例のBefore側を見ると、その切実さが数字で出ていました。月5万円を5年払って成果ゼロ。120万円かけて問い合わせゼロ。※これは集めた事例に書かれていたBeforeの数字で、当社の実績ではありません。当社が同じ結果を出す・防ぐと示すものでもなく、あくまで想定の材料です。
作られていないのではなくて、作られたのに動いていない。発注する側が怖がっているのは、たぶんここです。
「知識がない」の中身は、技術ではなかった
もうひとつ、集計して分かったことがあります。
「知識がないから頼みたい」という声の中身を分解すると、技術の話ではありませんでした。判断の話でした。
何を直せばいいのか分からない。どれが効いていて、どれが無駄なのか分からない。だから決められない。
公的統計にも同じ形が出ています。従業員20人以下の事業者のうち、18.7%が「何から始めてよいか分からない」と答えている。
ツールの使い方を教える話ではないんです。「今の状態だと、次はここ」と言い切ってくれる相手がいない、という話でした。
「うちだけの強み」と書いた節が、市場標準だった
ここからは、自分側の話です。
社内資料に「ここは真似できない」と書いていた節がありました。更新が人に依存しないで回る、という部分です。
受注側27社を数えたら、14社がそれを最大の売りとして掲げていました。半分です。差別化として書いていたものが、実際には市場の標準だった。
同じ日に、自社の文章を「AIっぽさ」の28項目で採点しました。態度を決めたテンプレートは不合格ゼロ。一方で、基準として置いていたテンプレートは、最高評価ゼロ・不合格5でした。※これは自社の文章を社内基準で採点した内部チェックの数字で、顧客への提供成果を示すものではありません。同じ点数が出ることを想定させる意図もありません。
自分たちで作った規約が、自分たちの初期設定に効いていなかったということです。書いてあることと、既定で出てくるものが、ずれていた。
これは正直こたえました。でも、数える前に気づく方法はなかったと思います。
書く前に、数える
今回いちばん学んだのは、順番でした。
強みは、書いてから確かめるものではなくて、数えてから書くもの。「たぶん困っているだろう」で提案を組み立てると、相手が実際に怖がっていることを外します。
小規模事業者の方と話すとき、これからはこう聞こうと思っています。「作りたいものは何ですか」ではなく、「いま、何が止まっていますか」。
作れる時代になったあとに残る仕事は、たぶんそっち側にあります。
あなたの事業では、いま何が止まっていますか。
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